特別栽培小豆について

2012年03月03日
今回はHP でも紹介されている特別栽培小豆について説明します。




 



が、その前に有機栽培について少しふれておきます。

hana3特別栽培小豆の歴史

実は平成13年4月1日まで「有機小豆」と呼ばれる小豆が存在したのです。

JAS法によって平成13年4月1日から有機栽培に対する明確な基準が設けられるようになるまで、市場には 「有機~~」という農産物が氾濫していました。それらは玉石混合で現在でも有機栽培として通用するものから、化学肥料の代わりに数回
有機肥料を与えたもの、酷いものになると全く慣行農法通りのものもありました。

そのような状況の中、平成13年4月1日JAS法によって「有機栽培」は以下のように定義されたのです。


● 有機栽培

 「有機低農薬栽培」「有機減農薬栽培」などという紛らわしい表示が氾濫したので、JAS法によって平成13年4月1日から「有機」や「オーガニック」と表示するには、検査を受けて合格したものに限られるようになりました。JASマークが付いていないものには、「有機農産物」、「有機栽培」、「有機○○」等の表示をしてはならないのです。JAS法で有機農産物とは、「化学的に合成された肥料及び農薬の使用を避けることを基本として、播種又は植付け前2年以上(多年生作物にあっては、最初の収穫前3年以上)の間、堆肥等による土づくりを行ったほ場において生産された農産物」と規定されています

このJAS法に適合する小豆が存在しなかったため 「有機小豆」 と表示された小豆はなくなりました。

小豆が適合しなかった理由は以下の通りです。

Ⅰ 小豆は連作(同一の圃場で同一の作物を繰り返し栽培すること)が難しく、前年に栽培した別の農作物まで有機栽培で行はなければならなくなる。そこまで徹底することは経営的に難しい。

Ⅱ 100%無農薬で栽培するのは圃場に広さから害虫被害の危険が大きく難しい。

その結果、それまで「有機小豆」と表示されていたものは、無化学肥料栽培小豆、減農薬栽培小豆、減化学肥料栽培小豆
と表示されるようになりました。

その後、平成16年4月から「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」が施行され、適合するものは特別栽培小豆と表示されるようになりました。

表示ガイドラインでは特別栽培農産物は、以下のように定義されています。

●特別栽培農産物  略称:特栽

 平成16年4月から「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」が施行されました。以前は、無農薬栽培農産物、無化学肥料栽培農産物、減農薬栽培農産物、減化学肥料栽培農産物と設定されていたのを、一括りの名称「特別栽培農産物」に変更されます。ガイドライン表示の対象となる農産物は、化学合成農薬、化学肥料双方を慣行の5割以上減らして栽培された農産物となります。「無農薬」、「無化学肥料」、「減農薬」、「減化学肥料」の表示は、改正後は表示できないことになりますが、ガイドラインには罰則がありません。

対象農産物は国産・輸入を問わず、野菜、果実、穀類、豆類、茶等であり、米については特に特別栽培米と呼ばれる。なお、減ずる対象となる化学合成農薬からは有機農産物JAS規格で認められている農薬(例:フェロモン剤等)は除かれている。

●有機栽培と特別栽培の違いは以下の通りです。 


 有機農産物が播種前2年以上及び栽培期間中に対象となる農薬・化学肥料を使用しなかった農産物のことであり、これに対して特別栽培農産物は栽培期間中に対象となる農薬や化学肥料を減じて生産されたものをいいます。また、播種前についての条件も存在しません。

なお、栽培期間中に対象となる農薬を一切使用しなかった(播種前の制限は無い)農産物は、「特別栽培農産物(節減対象農薬:栽培期間中不使用)」と呼ばれます。

当該農産物の生産過程等における節減対象農薬の使用回数が、慣行レベル(※注)の5割以下
当該農産物の生産過程等において使用される化学肥料の窒素成分量が、慣行レベル(※注)の5割以下

※注:慣行レベルは都道府県によって定められている。



hana3特別栽培小豆と他の北海道産小豆の実態

●栽培方法別による特別栽培小豆の分類

特別栽培小豆の中でも 「ホクレン」 より販売されているものは 「クリーン100」、「クリーン80」という商標で販売されています。これらの特徴は、生産過程等において使用される化学肥料の窒素成分量が0、あるいは慣行レベルの2割ということです。「クリーン100」は十勝地方、「クリーン80」は、旭川地方を中心に栽培されています。

 以下の図は栽培方法別による特別栽培小豆の分類をまとめたものです。






以下のグラフは北海道産小豆のうち特別栽培小豆と慣行農法により栽培されている小豆の生産量の内訳です。(H.22べース、ただし公式な統計は存在しないので推定です)

ご覧のように特別栽培小豆は北海道産小豆の生産量のわずか1%しかありません。





以下のグラフは特別栽培小豆のそれぞれの生産量の内訳です。(H.22べース、ただし公式な統計は存在しないので推定です)






hana3特別栽培小豆の長所と問題点

●長所

Ⅰ 現在市場に出回っている小豆の中でもっとも 安全・安心な小豆と言える。つまり流通経路の追跡が可能であり、また下の写真にあるように栽培の過程が明確に表示されて一目でわかるようになっています。

Ⅱ 次に最も重要な’味’についてですが、これは個人の主観が入るので一概には言えないのですが、私個人としては特別栽培の方が勝っていると思っています。弊社でもこれまでお客さまに何人も食べ比べていただいてきましたが、必ず特別栽培小豆の方を選ばれました。






●問題点

Ⅰ 栽培に手間がかかるため、価格が他の小豆よりも高い。二等小豆(※注)に対し特栽のプレミア価格として3,000~ 5,000円/60kg上乗せされている。

※注:一般的に市場で取引されている小豆の中で最高級の小豆

Ⅱ 農作物であるため、その年の天候その他の自然条件によっては、化学肥料あるいは農薬を特別栽培のガイドラインより多く投入しなければならない場合がある。その場合、特別栽培の表示はできない。

Ⅲ 現在のところ、科学的に慣行農法によって栽培された小豆との明確な優位性を示すことはできない。

Ⅳ 生産量が小豆全体の1%程度であり、供給能力に不安が残る。


hana3まとめ


上記で示したように現状の特別栽培小豆には問題点がたくさんあります。

特に一番多いのは「高い値段を払うだけの価値があるのか?」という点です。「特別栽培小豆が慣行農法の小豆に対し科学的に優れている点を示してくれ!」というお客さまもいらっしゃいます。今のところその質問に対する明確な答えは用意できていません。

 「高い価格に見合うだけの価値はない!」と判断される方、あるいは「有機栽培」ではなく「特別栽培」などという分かり難い表示では意味がないというお客さまがいらっしゃるのも事実です。

一方、自らの舌で判断して「やっぱりこの豆で作った あんこ はおいしい!」とおっしゃるお客さまがたくさんいらっしゃるることも事実です。

私としては、価格さえ折り合うのであれば流通経路の追跡が可能であり、栽培の過程が明確に表示されている特別栽培小豆は現行最も安全・安心な小豆であり、その味も含めてお客様に味わっていただきたいと考えています。




















Posted by 安儀製餡所 at 18:19 あんこ豆知識コメント(0)

手亡豆について 

2012年02月23日
さて今回は 手亡豆 のことを簡単に説明します。



face01 手亡豆と白あん

前回の白小豆の項では手亡豆のことを風味に乏しいとかまるで役に立たない豆のように書いていましたが、
決してそのようなことはありません。

世界に誇る日本の和菓子職人の技を裏で支えてきたのが手亡豆です。

手亡豆は色が白く、粘りがあるので手亡豆で作った白あんは、上生菓子を作るときに必要な 練り切りあん に最適です。


face01 練り切りあん

 練り切りあんとは白あんに砂糖を加え、やまのいも・みじん粉(注)などのつなぎを加えて練ったあんのことです。
そして、これを着色して季節折々の繊細な細工を施し、祝儀や茶席などに用いる上生菓子、ほかの菓子の生地としても用います。


みじん粉(注);寒梅粉とも呼ばれ、もち米を水洗いし水漬け後、蒸して餅にします。これを色がつかないように焼き上げて粉末状にしたものです。

皆さんが和菓子というと一番に思い浮かべる繊細で美しいお饅頭が上生菓子です。

    


face01 つぶあん

 また手亡豆はつぶあんとしてもおいしく、三笠や大判焼き(回転焼き)にもつかわれています。


大判焼きてぼ

つまり最高級の上生菓子から庶民的な大判焼きまで非常に守備範囲の広い豆といえます。










Posted by 安儀製餡所 at 14:54 あんこ豆知識コメント(0)
今回は こしあんと豆ペースト でふれた 豆皮 について少し説明したいと思います。

生あん(こしあん)を製造する際に豆皮が食品残渣として発生します。残渣とは濾過(ろか)したあとなどに残ったかすのことで文字通り豆皮がこれにあたります。

今のところ豆皮の処理方法としては次のものがあります。

① 飼料化
② 肥料化
③ 餡に混ぜる
④ 焼却処理
⑤ バイオマス原料

以下はそれぞれの問題点を考えてみます。

① 飼料化
現在日本では食品残渣を飼料化することが求められています。

その背景には

日本国内の飼料穀物はそのほとんどを輸入に依存している状況下にある一方、食品製造業、食品流通業、外食産業等からは食品製造副産物、余剰食品、調理加工残さ等が大量に廃棄され、その多くは焼却処理されていることが挙げられます。

これらの背景と地球環境問題や資源の有効活用の面から、食品残渣を飼料化していくことが求められているのです。

しかしながら、飼料化には次のような問題があります。

食品残渣飼料はその原料となる食品残渣の水分含有量が多く、常温では腐敗や臭気の発生等の危惧があるため、様々な
技術によって脱水し飼料化が取り組まれているのですが、それが高コストとなりその上保管、輸送にもコストがかかることから結果的に焼却処理されているのが実情です。

② 肥料化

次に食品残渣の処理として肥料化が考えられます。

肥料化にもさまざまな問題があります。まず食品残渣(豆皮)を肥料にするまで時間がかかることです。そしてその間臭気の発生が起こります。したがって肥料になるまで保管しておく広い土地と臭気の発生が問題とならないよう周りに住宅がないことが必要となります。そしてそのような施設の場合、輸送コストが高くつくのが現状です。

よって①, ②とも下のような関係になっており、結果焼却処理されることが多くなります。

食品残渣の脱水にかかるコスト、保管コスト、輸送コスト-食品残渣から得られる利益 > 焼却コスト

このような状況から残念ながら ③ を選択するところもあります。

弊社でも、以前は飼料化、肥料化を時期に応じて実行しましたが、保存や輸送にコストがかさむことから焼却処理していることが大半でした。

しかし現在は幸いにも、食品残渣(豆皮)は脱水後、キノコの菌床栽培(きんしょうさいばい)を行っている食品会社が菌床用に全量引き取っています。したがって食品残渣は現在は発生していません。

菌床栽培(きんしょうさいばい)とは、菌床(オガクズなどの木質基材に米糠などの栄養源を混ぜた人工の培地)でキノコを栽培する方法です。


脱水処理し菌床として使われる豆皮

⑤については今のところ夢物語です。

つまり現状は事業所の近くに飼料化、肥料化に適した飼育場、農場がない限り焼却処理されていきます。あるいは豆皮を磨り潰してあんに混ぜられています。

私としては、エコ好きの’あほな’政治家が「あんこは、つぶあんしか作らせない!」という法律を作らないことを願うばかりです。半分は冗談ですが、経験ではなく歴史から判断するのであれば、人類は「禁酒法」や「生類憐みの令」という悪法を生んできたわけですから。




Posted by 安儀製餡所 at 19:00 あんこ豆知識コメント(0)
白小豆について の記事に竹小豆の写真を追加します。

ぜひご覧ください。

Posted by 安儀製餡所 at 23:11 あんこ豆知識コメント(0)
くるみ餅とくるみあん の記事に ずんだ餅の写真を添付しました。

ぜひご覧ください。

Posted by 安儀製餡所 at 21:21 あんこ豆知識コメント(1)

こしあんと豆ペースト

2012年02月09日
 

現在でこそ,あんこ屋もいろいろな種類のあんこを作るようになりましたが、元々は和菓子屋さんが生あん(こしあん)を作るのが非常に手間がかかり大変だったため、生あん作りだけを代行することからスタートしました。

弊社では次のような伝統的な製造方法で生あん(こしあん)を製造しています。

①豆からあん粒子がこぼれないよう (こぼれた状態を豆が腹切れしているという) 煮豆するとともに豆の煮汁を丁寧に排出する。 

 
②煮豆から豆皮とあん粒子を完全に分離する。

③あん粒子を冷水に晒し攪拌し、上水(うわみず)と一緒に不純物を捨てあん粒子のみを抽出する。

④あん粒子を含水率(あんに含まれる水分の割合)約60%まで脱水する。

⑤脱水されたあんを粉砕する。(生あんの完成)

⑥生あんに砂糖、水あめを加え加熱する。

この伝統的な製法には次の問題点があります。

①晒しに大量の水を必要とする。

②食品残渣としてでる豆皮を処分しなければならない。

一方あんの中には豆を釜の中でぐたぐたに煮込み豆皮ごとすり潰して、まるで豆ペーストのようにし、これに味付けしたものもあります。
このような製法で作られたあんは、色が黒く食べても舌触りが悪く、苦味が残るものさえあります。
もちろん、この製法にも利点はあります。つまり水があまり必要でないし、豆皮もあまり出ません。ですから製造コストも安くなります。


しかし私としてはお客様に豆皮を食べてもらうのは気が進みません。豆皮に栄養があるという意見もありますが、それならば、つぶあんを食べればよいことです。

次の機会では伝統的な製法の問題点についてお話したいと思います。
Posted by 安儀製餡所 at 22:22 あんこ豆知識コメント(0)

白小豆について

2012年02月08日
今回は白小豆について書いてみたいと思います。

まず皆さんは小豆は赤いものに決まっているとお考えでしょう。

以前は「赤いダイヤ」とも呼ばれ、実際国内で生産されている99%は赤い小豆です。

しかし、白小豆のように白いものや竹小豆のように薄緑色(赤竹小豆を除く)をしたものも存在します。(99%と書きましたが、実は白小豆は正確な生産統計が存在しないので私の推測です。)


白小豆                 竹小豆

主な生産地域は北海道、岡山、兵庫、栃木県ですが、以前検索しているとオーストラリアというのもありました。

ブランドとしては備中白小豆と呼ばれる岡山産のものが有名で以前は弊社でも使っていたのですが、あまりにも価格の変動が激しく、いまは生産量が圧倒的に多く、価格も安定している北海道産を使用しています。

白小豆の特色としては、白い色(黄白色)をしているが、、食べた時の味はしっかりと小豆独特の風味ある味をしていることです。 

あんこでは白餡の原料には「手亡」をよく用いますが、手亡の白餡はさっぱりとして小豆に比べると風味に乏しいのが現実です。一方、この白小豆ならば、小豆の風味がしっかりと感じられ、尚且つ白いあんこに仕上がります。


手亡豆

問題点としては

希少で生産量が少ないため、価格が他の白い豆と比べ高価でしかも安定せず、時には信じられないぐらい高騰する。

本来が小豆の一種であるため白餡としてみた場合、色が白さの点で見劣りする(あんこの商品紹介 一般の方向け

 
以上の点を解消するために、白小豆と手亡をブレンドしている和菓子屋さんもあります。

また弊社では白小豆でをつぶあんを作っていますが、これも非常においしいですよ。


白小豆 つぶあん


Posted by 安儀製餡所 at 15:21 あんこ豆知識コメント(0)

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