まだ梅の花には少し早いのですが、早春にはつきもの 鶯(うぐいす)餅 について少し書いてみたいと思います。

face01 一般的な鶯餅

一般的に鶯餅(うぐいすもち)は、こし餡を求肥などで包み、丸く包んだものを楕円形にし、左右に引っ張りうぐいすの形にし、うぐいす粉(緑色に着色したきな粉)をまぶして仕上げることが多い。

したがって、花札にある緑色をした鳥(鶯?)の色に近い、早春を感じさせる和菓子が鶯餅です。

face01 鶯餅の由来

天正年間(1580年代)の頃、大和郡山(現在の奈良県大和郡山市)の郡山城の城主であった豊臣秀長が兄の豊臣秀吉を招いた茶会を開く際に「珍菓を造れ」と命じ、御用菓子司であった菊屋治兵衛が粒餡を餅で包み、きな粉をまぶした餅菓子を献上しました。

秀吉はその餅を大いに気に入り「以来この餅を鶯餅と名付けよ」と菓銘を下賜した。
一説には全国の鶯餅の原型とも言われています。(以下は菊屋HPより参照)

現代では非常に親しみやすく手軽に買える和菓子ですが、誕生当時はなかなか由緒ある和菓子だったようです。

face01 御城の口餅

時代を経てこの餅は「御城の口餅」と通称がつけられるようになりました。

これは菊屋がお城の大門を出て町人街の1軒目にあたることから、いつしか「御城の口餅」(お城の入り口で売っているお餅)と通称が付けられ今日に至りました。



現代ではもち粉から求肥を作り、うぐいす粉をまぶすのが一般的となっているが、本家菊屋では餅米から餅をついて作り、きな粉は青大豆を使用しているということです。

face01 鶯は何色か?あるいは花札の鳥はメジロなのか!

hana3 鶯とメジロの混同

 鶯



 メジロ

上の写真を見た限りでは花札の緑色の鳥はメジロのようです。(以下ウィキペディアより)

メジロは梅の花蜜に目がなく、早春には梅の花を求めて集まってくる。また比較的警戒心が緩く、姿を観察しやすい。

いっぽう、梅が咲く頃によく通る声でさえずりはじめる鶯は警戒心がとても強く、声は聞こえど姿は見せず、薮の中からめったに出てこない。

また鶯は主に虫や木の実などを食べ、花蜜を吸うことはめったにない。

両種ともに春を告げる鳥として親しまれていたこともあってか、時期的・場所的に重なる両種は古くから混同されがちであった。

古来絵画にある「梅に鶯」の主題を見ても、「梅にメジロ」を描いてしまっている日本画家も多い。


まあ、このことから、花札に書かれている「緑色の鳥」は、メジロだと言ってもよいでしょう。

それでは、鶯餅の色は間違いで、言い換えるとあれは 「メジロ餅」 とでもよぶべきものなのでしょうか?


hana3 鶯色とは

鶯色というとメジロの体色のような鮮やかな色を連想する人も多いのですが、JIS慣用色名に定められている鶯色は茶と黒のまざったような緑色をしています。

この色を鶯茶(うぐいすちゃ)ともいう。実際の鶯の体色は茶褐色であり、JISの鶯色は、鶯の羽を忠実に取材した色です。

また江戸時代中期には茶色味がかった鶯茶が女性の普段着の色として大流行したため、当時「鶯色」といえばこちらの色を指します。

icon06 鶯茶はこのような色である。



icon06 現在一般にイメージされる鶯色はこのような色である。





hana3  青大豆

 ここで注目すべきは、青大豆です。

青大豆は、普通の大豆と比べて、極端に生産量は少なく、したがって値段も非常に高価です。(尤も最近は海外から代替品となる豆も輸入されているとも聞いていますが。)

泉州では 青大豆 と言えば、くるみあん の材料として有名です。が、一般的には鶯餅用のきな粉の材料として知られています。

さて青大豆を使ったきな粉ですが、けっして、メジロのような色になるわけではありません。

私も 青大豆を使用しているという 鶯餅をいくつか食してみましたが、色的には普通の大豆(黄大豆)を使ったものとさほど変わりません。

hana3 青大豆で作ったきな粉が青くない理由

その理由は、青大豆と言っても、枝豆のように豆の中まで青色をしている訳ではないからです。

青大豆より一般的である黒大豆を考えてみてください。

黒大豆は表面(皮)は真っ黒ですが、中の色は灰色のような色です。

黒大豆と同様に青大豆も豆の表面(皮)は青いのですが、中の色は黄大豆とあまり変わりません。

よって、きな粉に加工した場合、あまり普通のきな粉と色は変わりません。

言い換えると、現在良く使われている鶯粉ほど鮮やかな色でない青大豆を使ったきな粉こそが鶯の色に近いと言えなくもありません。

以下は私の推論です。

 最初は鶯餅は青大豆のきな粉を使い、本来の鶯に近い色になっていた。

しかし、世間では花札にある緑色の鳥(メジロ)は春の新緑を感じさせ、これを鶯と呼ぶようになってきた。

一方青大豆はあまりにも高価であり、無理をしてこれを使うより安価で世間が鶯に持っているイメージの色に近い、うぐいす粉(緑色に着色したきな粉)を使った鶯餅になった。

このようなところではないでしょうか?

face01 鶯あん

最後に「鶯あん」について少し書いてみたいと思います。

私の知っている鶯あんは青えんどうを原料にしたあんで、つぶあんにして田舎饅頭にしたり、泉州ではこしあんにして村雨を作ったりします。

また、東北では青えんどうをもどして皮をむき、砂糖で甘く煮たものを「富貴豆」と呼び、これを使ったあんを富貴餡と呼びます。
一説によると、豆を蒸かすから「ふき豆」と呼ばれていたのを、縁起がよいから、と「富貴」という文字があてられるようになったのだそうです。







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Posted by 安儀製餡所 at 19:19 あんこ豆知識コメント(1)
この記事へのコメント
鶯に関する様々なことがわかりました。深いですねー。
Posted by I.Y at 2013年02月28日 07:58
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