賢い消費者

2018年07月15日
さる6月23日 私たち製餡業者の関西支部の総会というのが京都のホテルオークラで行われました。

今回は京都の方たちの御尽力で大変楽しい時間を過ごすことが出来ました。

特に総会終了から懇親会までの間の時間で「速海ちひろ」さんの歌とクラシックハープの演奏を聴くことが出来ました。

お話を伺ったところ、アイリッシュハープでは演奏する曲に制約があるためクラシックハープの弾き歌いという極めて難しいパフォーマンスを行っているとのことでした。
 
もしマイルス・デイヴィスが生きていたらジミー・スミスの代わりに世界8番目の不思議と言ったであろう、クラシックハープ演奏の両足の動きの凄まじさを微塵も感じさせず、優雅で素晴らしい歌と演奏を聴かせていただきました。

ところで、今回の総会で少し話題になったのは「賢い消費者なら『国内製造』とだけ書かれている場合は材料の原産地を疑う」という話が出たことです。

これだけでは何のことを言っているのかさっぱりわからないと思いますので、その経緯を簡単に説明します。

日餡連総会

関西支部の総会の前、6月13日に日餡連の総会というのが東京のウエスティンホテルで行われました。(今の時期はこんなことばかりやっています)


このとき農水省の方も出席され、我々との質疑応答の時間を持っていただきました。

ここで話題になった原産地表示の新ルールについてかいつまんで説明すると次のようになります。

消費者庁は、国内で製造される全ての加工食品について原料原産地表示を義務付けるよう食品表示基準を改正し、1日から新制度をスタートさせる。国産農産物の消費拡大などが目的。最も重い原材料の産地1つを記すのが基本となる。

 ロースハムは豚ロース肉が最も重量を占めるため、「豚ロース肉(米国)」などと表示。気候や相場変動などで原料の調達地や重量の順位が変わる食品もあるため、「米国または国産」としたり、産地が3カ国以上の場合は「輸入」としたりする例外も認めている。

加工食品自体を原材料として使う場合は、加工した国を表示。例えば、中国から輸入したあずきを北海道であんに加工、これを使ったあんパンのあんは「北海道製造」や「国内製造」と表示する。



加工食品の表示は誰がするのか?

弊社が加糖餡を和菓子屋さんやパン屋さんに販売した場合、新ルールに則れば「大阪製造」か「国内製造」という表示が販売先の和菓子やパンで必要となります。一方中国で製造された加糖餡を使っている場合は「海外製造」か「中国製造」という表示が必要になります。


ここで確認したいのは「加工食品」の表示というのは製餡業者ではなく、我々にとってのお得意先である和菓子、パン屋さん等が自ら行うということです。
 
この場合「国内製造」と表示されているものの原材料は、北海小豆でも中国小豆でもあるいは両者のブレンド」でもよいということになりますが、逆に「国内製造」としか表示されていない場合、「賢い消費者」は原材料は中国小豆だと疑うのではないかというお話でした。


従って弊社の加糖餡(加工食品になります)の場合はお得意様が例えば「国内(大阪)製造、北海(特栽)小豆100%使用」とか表示したり、白あんでベビーライマなどを使った場合は「国内(大阪)製造」表示します。(賢い消費者は輸入原材料を使っていると想像がつくという事です。)


国産信仰を持っておられる方には申し訳ないのですが、私の個人的な見解でいえば白あんに関してはその代表選手である北海手亡が外国産のベビーライマなどより優れているとは一概に言えないと思っています。 特に焼き菓子用としてはベビーライマの方が向いていると考えています。

製造場所の表示

かりに、お得意先が大阪(府内)の和菓子屋さんかパン屋さんであれば大阪製造と書くことに多少の意味があると思うでしょうが、関西でも兵庫県や京都府のお得意先であれば大阪製造とするのは帰ってマイナスイメージを与える場合もあります。従って他府県のお得意先は「国内製造」と表示されることが多いと考えられます。

小豆の原産地表示

新ルールでもあん(加工食品)は原材料になる豆の原産地表示は必要ありません。

また小豆やインゲンの価格は非常に変動が激しいものです。かって大手のスーパーで餡の産地偽装が問題になりましたが、これは製餡業者が大手スーパーに対し北海道産小豆の価格変動を売価に転嫁できなかった(転嫁させてもらえない)ためです。

であるならば新ルールに従って小豆の価格が高騰しても中国産やカナダ産小豆に切り替えたりブレンドできるよう「国内製造」とだけ表示してもらうのも一つの方法です。

加工食品の「国内製造」という表示から「賢い消費者」は以上の様な事を推理することになるわけです。(面倒くさいですね)













Posted by 安儀製餡所 at 19:55 安儀通信コメント(0)

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