「アイリッシュマン」という映画が話題になっています。

【監督】 マーティン・スコセッシ

【キャスト】 ロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ、ジョー・ペシ、ハーベイ・カイテル

【音楽】 ロビー・ロバートソン

ということで非常に観たいのですが、私くらいの年齢の家族がいる男が一人で映画館に行くというのはなかなか難しいものです。

小説の方を買ったので正月休みに読みたいと思っています。

映画「タクシードライバー」

私がマーティン・スコセッシとロバート・デ・ニーロのコンビで一番最初に観た映画と言えば「タクシードライバー」です。

初めて観たときはかなり衝撃を受けました。もっとも意味不明だったロバート・デ・ニーロの行動は現在は PTSD という言葉で解決するのでしょうが。

最初のデートで女性をポルノ映画に連れて行って振られたり、大統領候補の暗殺を企て、それに失敗するとチャールズ・ブロンソン扮するポール・カージーみたいなことをはじめて最後には無罪になって街の英雄になる。そう言えば当時「ディア ハンター」とか「ローリング サンダー」とかいわゆるベトナム戦争の後遺症をテーマにした映画がよく創られていました。

理解不能な彼の行動ですが、そのうちの一つが「ロバート・デ・ニーロがテレビを観ていて、ジャクソン・ブラウンの Late for the Sky が流れてくる。そして最後に切れてしまう」というシーンです。

https://youtu.be/IHxuij9Rm-4

改めて見ると若き日のロバート・デ・ニーロのNYの孤独と苦悩を一身に背負う表情は凄いと思います。

しかし、この歌はロバート・デ・ニーロが切れるのを誘発してしまうような内容なのか?、そもそも Late for the Sky という曲名の意味がずっとわかりませんでした。

そこで今回ネットで調べてみたところ次のブログを見つけました。

http://neverendingmusic.blog.jp/archives/20387165.html

ここでジャクソン・ブラウン自身がインタビューに答えている内容が書かれていました。

 "レイト・フォー・ザ・スカイ"…これこそ、まさにその例だよ。これもタイトルから始まった曲なんだ。僕がある人にさよならを告げるときに言った言葉だった。"もう行かなきゃ"ということを告げるのに、馬鹿馬鹿しくなるくらいドラマチックな言い方だったんだ(笑)。つまり「遅れそうだ。飛行機に乗らなきゃならないんだ。もう行くよ」ということ。しかも早朝のフライトで、夕刻遅くではなかった。それなのに「空(飛行機)に遅くなる」と言ったんだ。そのことを覚えていたんだよ。そして曲になった。
 僕にとって曲を書くというのは、そういった、たったひとつのフレーズがさらに響き渡ってくるような、比喩表現やクリエイティヴな文脈を見つける作業に過ぎないということもよくある。もしくは口にしたとき、結果的にそういう意味になるか…。



Late for the Sky



この歌はネット上でもたくさんの人が訳していますが、せっかく曲名の意味がわかったので私なりの解釈を書いてみます。(ただし、私には文学的センスが皆無なのでその点はご容赦頂きたい)

大雑把に言えば『ある男(多分ジャクソン・ブラウン自身)が心が通じ合わなくなった女性と別れ話を一晩中する。そして最後に「遅れそうだ。早朝の飛行機に乗らなきゃならないんだ。もう行くよ」と言って去っていく。』という感じです。こう書くと身もふたもないですが。(笑) 普通はこんなことを言ったら修羅場になってしまうものですが、代わりにロバート・デ・ニーロが大暴れしました。

The words had all been spoken
And somehow the feeling still wasn't right
And still we continued on through the night

言葉は語りつくしたというに
気持ちはまだ十分に分かり合えていない。
だからこうして夜明けまで続けている。

Tracing our steps from the beginning
Until they vanished into the air
Trying to understand
how our lives had led us there

出会いから露のように消えてしまった二人の足跡を辿り、
私たちの人生がどうしてこうなったのか、分かろうとしている。

Looking hard into your eyes
There was nobody I'd ever known
Such an empty surprise
To feel so alone

君の瞳を見つめてみても、
本当の私は映っていない。
虚しい驚きなんだ、一人なんだと感じることは。


Now for me, some words come easy
But I know that they don't mean that much
Compared with the things
that are said when lovers touch

今の私には、 言葉なんて、簡単に浮かんでくる。
でも私は分かっている。そんな言葉は何の価値もない。
恋人たちが交わし合う言葉と比べれば。

You never knew what I loved in you
I don't know what you loved in me
Maybe the picture of somebody
you were hoping I might be

君は決して分からなかった。私が君を愛しているということを。
私は知っている。君が私を愛していないことを。

たぶん君が望んでいたのは私が誰かの身代わりになることかもしれない。 (=you were hoping I might be the picture of somebody)


Awake again I can't pretend
And I know I'm alone and close to the end
Of the feeling we've known

また目が覚める 、偽ることはできない。
私は分かっている。私が一人きりで、二人が分かち合った
想いが終わろうとしてることを。

How long have I been sleeping
How long have I been drifting
alone through the night
How long have I been dreaming
I could make it right 
If I closed my eyes and tried with all my might
To be the one you need

私はいつから偽ってきたのだろう?(前節のAwake again I can't pretendからsleep=pretendと考える)
私はいつから夜の闇を一人彷徨ってきたのだろう?
私はいつから夢見てきたのだろう?
きっとやり直すことができたのだと。
もし私が目を閉じて(自分を殺して) 君が望む人になろうと
精一杯頑張っていければ。

Awake again I can't pretend
And I know I'm alone and close to the end
Of the feeling we've known

また目が覚める 、偽ることはできない。
私は分かっている。私が一人きりで、二人が分かち合った
想いが終わろうとしてることを。

How long have I been sleeping
How long have I been drifting
alone through the night
How long have I been running
for that morning flight
Through the whispered promises
and the changing light
Of the bed where we both lie

Late for the sky

私はいつから偽ってきたのだろう?
私はいつから夜の闇を一人彷徨ってきたのだろう?
私はいつから走り続けてきたのだろう?
今朝の便に乗るために(別れることを考えてきたのだろう)
二人ベッドで(たわいない)約束を囁やいたり、夜明けを迎えながら。

(もう行くよ)空に遅れてしまう。

ジャクソン ブラウン

映画が封切られた当時ジャクソン ブラウンは関西ではサーファーと呼ばれていた人達に大人気でした。

ただ ジャクソン ブラウン の歌というのはほとんどが「愛の不毛」か「文明批判」なので、なぜ人気があったのか不思議でした。

おそらく彼のルックスと当時ウエストコーストを代表するレーベルであった「アサイラム」の看板スターだったからと思うのですが。(アサイラムは元々ジャクソン ブラウンをデビューさせるためにできたレーベルでした。)

「タクシードライバー」と「Late for the Sky」


次の動画はジャクソン ブラウンの本当に初期の作品 These Days を 故Gregg Allman と共演しているものです。
チャック リーベルのピアノソロやジャック ピアーソン(この人は本当に上手いと思います)のスライドギターが聞けます。

https://youtu.be/cRCQRTLjsgE

次は映画「ボディーガード」でおなじみの Gregg Allman のMelissa を共演しています。

https://youtu.be/J0GiRGl2dIU

デヴィッド・リンドレー

当時ジャクソン・ブラウンの相棒だったマルチプレイヤーのデヴィッド・リンドレー。
ここでは彼の代名詞であるラップスチールではなく(多分)テレキャスターをフィンガーピッキングで思い入れたっぷりに弾いています。



デヴィッド・リンドレー みたいなギターを弾きたいと思われた方はこの方の動画を参考にしてはいかがでしょうか。



なぜかこの動画のコメントの書き込みは英語ばかりです。(笑)

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Posted by 安儀製餡所 at 16:46 音楽映画コメント(0)
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