The Weight

2019年07月31日
The Band について書いてきたので、やはり、この歌について触れないわけにはいかないと思います。



このロビー ロバートソン の白日夢みたいな歌については今まで様々な解釈がなされてきました。

何かしら宗教的な雰囲気と全くシンプルで力強い歌と演奏。

それにしても何を言っているのか分からない詞の内容。

特に Fanny とは何者なのか、そして今回も謎のリフレイン。この辺についても私なりの解釈を書いてみたいと思います。

1.
I pulled into Nazareth, was feelin' about half past dead;
I just need some place where I can lay my head.
"Hey,① mister, can you tell me②where a man might find a bed?"
He just grinned and shook my hand, and "No!", was all he said.

私がナザレに着いた時は半死半生だった。
私には横になれる場所が必要だった。
そこで私はナザレの人に聞いてみた。「お教えください。人は安息の地を見つけられるですか。」
彼はニヤリと笑い、私の手を握りただ「いいえ」とだけ言った。

リフレイン
①Take a load off Fanny, take a load for free;
Take a load off Fanny, And (and) (and) you can put the load right on me

(神よ)Fanny(母)から荷物を一つ降ろしてください。あなたの慈悲で荷物を一つ私のところに運んでください。
私が全ての重荷を背負います。

2.
I picked up my bag, I went lookin' for a place to hide;
When I saw Carmen and the Devil walkin' side by side.
I said, "Hey, Carmen, come on, let's go downtown."
She said, "I gotta go, but m'friend can stick around."

私は自分の(欲望が詰まった)カバンを拾い上げ、それを隠す場所を探していた。
するとカルメンと悪魔が並んで歩いて来た。
私は言った。「カルメン、こっちへおいで、一緒にダウンタウンへ行こう」
彼女は言った。「私は構わないよ、でも私の周りには悪魔がうろついてるよ。(聖人であるあなたには都合が悪いじゃないの?)

リフレイン
Take a load off Fanny, take a load for free;
Take a load off Fanny, And (and) (and) you can put the load right on me.

3.
Go down, Miss Moses, there's nothin' you can say
It's just② ol' Luke, and Luke's waitin' on the Judgement Day.
"Well, Luke, my friend, what about young Anna Lee?"
He said, "Do me a favor, son, woncha stay an' keep Anna Lee company?"

神に捧げる歌が聞こえてきた。「往きなさいミス モーゼ、でもあなたは何も話せることはない。」
まるで弁明の余地がない年老いたルカみたいだ。そしてルカは判決を待っている。
「我が友ルカよ、若い(愛人の)Anna Lee はどうしている?」
彼は言った。「お願いがあるんだ。俺の服役中Anna Lee を 面倒みてくれないか」

リフレイン
Take a load off Fanny, take a load for free;
Take a load off Fanny, And (and) (and) you can put the load right on me

4.
Crazy Chester followed me, and he caught me in the fog.
He said, "I will fix your rack, if you'll take ②Jack, my dog."
I said, "Wait a minute, Chester, you know I'm a peaceful man."
He said, "That's okay, boy, won't you feed him when you can."

独裁者のChester が私の後を追ってきて、とうとう霧の中で捉まってしまった。
彼は言った「もしお前が私の犬のJack を連れていくなら、お前を痛めつけるぞ」
私は言った。「少し待ってくれChester、私が暴力を好まないのを知っているだろう」
彼は言った。「分かったよ。それならできる時でいいから犬のJackに餌をやってくれないか」

リフレイン
Take a load off Fanny, take a load for free;
Take a load off Fanny, And (and) (and) you can put the load right on me.

5.
Catch a cannon ball now, t'take me down the line
My bag is sinkin' low and I do believe it's time.
To get back to ①Miss Fanny, you know she's the only one.
Who sent me here with her regards for everyone.

特急列車に飛び乗ろう、そうすればここを離れられる。
私のカバンは(人々の苦悩で一杯で)重くなっていた。そろそろ潮時だ。
Miss Fanny(母) の元に帰ろう。あなた(神)は知っている。彼女こそが人々の(救済の)ために私をここに送り出した、ただ一人の人だと。

リフレイン
Take a load off Fanny, take a load for free;
Take a load off Fanny, And (and) (and) you can put the load right on me.

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Posted by 安儀製餡所 at 18:22 音楽コメント(0)

Across The Great Devide

2019年07月27日
前回取り上げた The Night They Drove Old Dixie Down 、貼っていたYou Tube の音源はなんか変な終わり方になっていたと思いますが、それは アルバム Rock of Ages ではこの歌とAcross The Great Devideがメドレーになっているからです。

私はこのメドレーがこのアルバムの中でも最も気に入っているところです。


それでこの歌についても少し自分の持っているイメージを書いてみたいと思います。



内容は簡単にいえば 「今の生活に満足できない主人公が収穫祭のさなかこの小さな町を出ようとするが、あらかじめその気持ちに感づいていた恋人の Molly に止められて(おそらく)撃たれてしまう。そして薄れていく意識の中で自分の人生を回想していく。」

1. 
Standin' by your window in pain
A pistol in your hand
And I beg you, dear Molly, girl,
Try and understand your man the best you can

痛みに顔を歪めながらmollyの家の窓辺に立っている。
彼女の手にはピストルか握られている。
「お願いだmolly、どうかわかってほしい」

リフレイン  
Across the Great Divide
Just grab your hat, and take that ride
Get yourself a bride
And bring your children down to the river side

2.
I had a goal in my younger days
I nearly wrote my will
But I changed my mind for the better
I'm at the still, had my fill and I'm fit to kill

もっと若いときは命を懸けてもいいと思う目標があった。
遺書まで書きかけた。
ても良いほうに心変わりしたんだ。(自嘲気味に)
自分に合っていたようで心穏やかで死んだような暮らし。

リフレイン
Across the Great Divide
Just grab your hat, and take that ride
Get yourself a bride
And bring your children down to the river side

3.
Pinball machine and a queen
I nearly took the bus
Tried to keep my hands to myself
They say it's a must, but who can ya trust?

娯楽と享楽の街へ向かうバスに乗りかけたこともあった。
でも自分を律したんだ。
それが大事だと長老たちは言う。
でも神の言うことなんか誰も信じてないんだ。

4.
Harvest moon shinin' down from the sky
A weary sign for all
I'm gonna leave this one horse town
Had to stall 'til the fall, now I'm gonna crawl
Across the Great Divide

夜空に輝く中秋の名月でさえ疲れたサインに見える。
このちっぽけな街を去るつもりだ。
秋の収穫までは待つがそれが済めばロッキーを越えて抜け出すんだ。

5.
Now Molly dear, don't ya shed a tear
Your time will surely come
You'll feed your man chicken ev'ry Sunday
Now tell me, hon, what ya done with the gun?

さあMolly泣かないで。
君にも素晴らしい時が来る。
日曜ごとにチキン料理を振る舞う恋人が現れる。
ところで教えてほしい。その銃で何をしたんだ。(本当に撃つなんて)

リフレイン
Across the Great Divide
Just grab your hat, and take that ride
Get yourself a bride
And bring your children down to the river side

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Posted by 安儀製餡所 at 00:42 音楽

Virgil Caine の末裔

2019年07月18日
「スリー ビルボード」 という映画を遅ればせながら観ました。

映画は評判通りすごくよくできていて特にサム・ロックウェルのレッドネックだかヒルビリーぶりが際立っていました。

ただ、一つ気に入らないのが、この中でクライマックスと言える場面で懐かしい「Old Dixie Down」が流れるのですが、これが「ジョーン バエズ」のヴァージョンだったことです。確かに商業的にはこれが一番成功したのでしょうが、やはり 「The Band」 のを聞きたかったと思いました。

サム・ロックウェル演じるジェイソン・ディクソン巡査はこの歌に登場するVirgil Caine の末裔ということでしょうか。



今回そんなことでふとThe Bandの「The Night They Drove Old Dixie Down」について書いてみます。

The Band

昔見た海外ドラマで中年男性が 「The Weight」を鼻歌で歌っていて、彼の母親に「未だに意味が分からない」という場面がありました。英語が母国語の人間でもそんなものかという感じで私が分からないのも当然かなと安心しました。

この「Old Dixie Down」はテーマが分かり易いのでなんとなくわかったような気になっていたのですが、改めてその歌詞を読んでみるとよくわからないところがたくさんありました。

私が「The Band」の歌としてずっとイメージしていたのは彼らのライヴアルバム「Rock Of Ages」に松山猛さんが書いていたライナーノーツです。

古い話で記憶が曖昧なのですが「彼らの音楽は映画「ラスト ショー」の世界を描いている。」みたいな内容だったと思います。

ある意味「スリー ビルボード」と「ラスト ショー」の世界は時代は違っても舞台が閉塞感で一杯のアメリカ合衆国の田舎という点で非常に近いといえます。

それで「Old Dixie Down」もなんとなく歌詞の意味が分かったような気になっていたのですが、今はインターネットという便利なものもあるので

少し調べてみました。そこで「華氏65度の冬」というブログを見つけました。

このブログには「Old Dixie Down」の歌詞について丁寧に解説がされていました。
 
今回感じたのは、この歌は旧約聖書の「カインとアベル」の物語が色濃く反映されているということです。

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Posted by 安儀製餡所 at 00:02 映画音楽コメント(0)

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