今年の春ごろに新聞か週刊誌の書評に出ていたので夏に買って読んでみました。
副題にあるように「林美雄とパックインミュージックの時代」がかかれています。(この番組はYOU TUBEでいくつか聴くことができます)
ずいぶん懐かしい話で、はたして番組のリスナー以外誰が読むのかなあ?という気がしました。
私がこの番組を聞いていた当時(あまりにも古い話で記憶違いがあるかもしれませんが)徳島の四国放送がTBSラジオとネットワークを結んでいて、対岸にある泉佐野でも.割ときれいに聴くことが出来ました。
当時大阪の深夜放送と言えば映画のネタバレやノストラダムスの大予言、超能力、UFOという今から考えるとオウム真理教みたいな放送をしている人や、ただただリスナーのリクエストをかける番組、あるいは吉本や松竹芸能の芸人さん、ニューミュージックの人たちの下ネタ、人生相談みたいな番組が多くて少々うんざりしていました。
それらと比べ林美雄さんのパックインミュージックは大阪の南端に住む高校生だった私には新鮮でした。
最初に聞いた金曜パックは荒井由実(当時)さんや石川セリさんの歌、ほとんど取り上げられることがなかった、日活ロマンポルノや東映、ATGの日本映画を紹介する大阪では聴くことのできない放送でした。またやはり大阪では考えられないことですが原田芳雄さんがゲストで来ては「リンゴ追分」や「プカプカ」もよく歌ってられました。
せっかく面白い番組を見つけたと思ったら、1974年の8月で終了、大阪ではその後TBSのナイター中継が雨で全部中止になった時「歌う銀幕スター夢の狂宴」のライヴ録音を聴くことができる程度でした。
そうこうしていると突然の復活。
この本には金曜パック以前の林さん、パックインミュージック2部誕生と終了の経緯など、当時の大阪の高校生には窺うことのできなかったことが書かれています。
そしてこの本にあるように金曜から水曜に移り深夜3時から1時へと時間帯も変わり、番組にスポンサーが付き何となく番組の雰囲気が変わっていったのかもしれません。
石川セリさんが「八月の濡れた砂」のイントロが大袈裟すぎて嫌だったというはなしは面白かったです。(私も秘かにあのイントロはないやろ、と思っていました。)
世間的には林美雄さんの最大の功績は荒井由実(当時)を紹介したことになっていると思います。
荒井由実はこの番組で紹介された人のなかで全く異質の存在であったと言えます。私もあまりにも自分自身の境遇からかけ離れた歌の世界に協調できずにいました。まあ、当時はサザンロックに夢中で泥臭さのかけらもない音楽に興味がありませんでした。
それでも最後に流れる「雨の街を」や他の曲は以前の日本には全く存在しない世界だなあとは思いました。
もっとも荒井由実さんが成功を収め、有名になっていったのは金曜パックで称賛された世界ではなく、そのようなたわいない夢なんてとっくに切り捨てて昭和の大ヒットメーカーとなられたわけですが。
若干の低迷期があったものの、平成バブル期の映画「私をスキーに連れてって」で見事復活。あとの快進撃はご存知の通りだと思います。
私も水曜パックになってからの後半は四国放送がオールナイトニッポンを放送するようになったため、TBSの電波が聞きづらかったり又生活も完全に普通に戻ったため徐々に聴かなくなりました。水曜パックの終了も週刊誌か何かで知りました。
本の中にはパックインミュージック終了後の林さんの人生についても書かれています。
なんだかパックインミュージック終了後仕事の方はなかなか難しかったようですが、その中で仕事と家庭に折り合いをつけて充実した人生を送られていたことがわかり少しほっとしました。
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